2012年1月13日金曜日

スタッフレポート「ブータン」

11月20日に日本を離れたブータン国王。
10歳年下の夫人をいたわりながら精力的に日程をこなされ、
ブータンの魅力をお一人で体現される姿。
たった6日間だが、この人口70万人、
面積は九州と同じくらいという小さな国の若き国王が
日本に残したものはなんだったかと考えると、
それは日本が失いかけていた大切なものを
呼び覚ましてくれるきっかけだったのではないか、
と思える。

ブータンのすばらしさは、6年前の調査では国民の
なんと97%が「幸せ」だと答えていることにある。
興味深いのは、GDPではなくGNH(国民総幸福量)
という考え方。つまり経済成長一本槍ではなく、
伝統、自然、健康、教育といった分野で
調和の取れた成長を目指すというものである。
国民の97%が幸せだと言い、現に失業率は3.3%。
経済成長率は7.4%。確かに納得の数字。

そんなブータンの国王が11月17日、国会で演説を行なった。
これは最後まで聞く価値のある演説である。
以下、ジグミ・ケサル国王演説より抜粋。

「ブータン国民は常に日本に強い愛着の心を持ち、
何十年ものあいだ偉大な日本の成功を心情的に
分かちあってまいりました。我々ブータン人は皆様とともにあります。

我々の物質的支援はつましいものですが、我々の友情、連帯、
思いやりは心からの真実味のあるものです。
常に日本国民を親愛なる兄弟・姉妹であると考えてまいりました。
両国民を結びつけるものは家族、誠実さ。そして名誉を守り
個人の希望よりも地域社会や国家の望みを優先し、
また自己よりも公益を高く位置づける強い気持ちなどであります。

私は若き父とその世代の者が何十年も前から、
日本がアジアを近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っています。
このグローバル化した世界において、日本は技術と確信の力、
勤勉さと責任、強固な伝統的価値における模範であり、
これまで以上にリーダーにふさわしいのです。

世界は常に日本のことを大変な名誉と誇り、
そして規律を重んじる国民、歴史に裏打ちされた
誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、
そして秀でることへ願望を持って何事にも取り組む国民。
知行合一、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さを
併せ持つ国民であると認識してまいりました。」

国王は、演説の最後に、母国語であるゾンカ語で祈りを捧げ、
こう続けた。

『いま私は祈りを捧げました。小さな祈りですけれど、
日本そして日本国民が常に平和と安定、
調和を経験しそしてこれからも繁栄を享受されますように
という祈りです。』

日本は、これまでブータンに多額の経済援助を行ってきたのだが、
物質的に「与えてきた」日本が、勇気と自覚をブータン国民から
もらったのではなかろうか。私はそう感じた。
この演説の内容は社交辞令ではないだろう。若き国王の
生真面目そうな態度や言葉から私たちがもらったものは、
それこそものさしで計ることのできない、
温かく力強い励ましの言葉だ。遠く離れていても価値観を
共有できる友人がいることに気付くことができた。
少し買いかぶりではないか、とも思うが、裏を返せば、
これだけ世界で信頼されている国ということだ。

なんだか腹の底から力が出てきそうな、そんな演説に感謝。